え、と……。


   Цукикаге га киета нара,
   Нацукаший казе но каори но ано ока де....


   …あ。


   Коно аи но цудуки wо шимасёу....
   Коно аи но цудуки wо шимасёу...............


   …。


   ……。


   …。


   …ふふ。


   …。


   比叡?


   あ。


   そんな所に居ないで、こっちにいらっしゃいナ?


   あ、あの。


   Come here, Hiei.


   え、えと、えと…。


   Please, my dear little sister.


   イ、イエス、ねぇさま…。


   ……。


   …ねぇさま、ひえい、まいりました。


   ふふ。
   いらっしゃい、比叡。


   わ…。


   私の可愛い比叡。


   ね、ねぇさま…く、くるしい、です…。


   Oh...Sorry.
   嬉しくてつい、力が入ってしまいマシタ。
   苦しい思いをさせてしまいマシタネ…。


   あ、い、いえ、だいじょうぶです…!


   …。


   ひえいは、だいじょうぶです!


   …ふふ、比叡は元気な娘(こ)デスネ。
   思っていた通りデス。


   ありがとうございます!
   はい、ひえいはげんきです!


   ふふ。


   あの、ねぇさま。


   なぁに、比叡。


   きょうはしゅつじん、しないんですか?


   今日は一日、お休みデース。
   毎日毎日働いていたら、流石の私でも疲れちゃうワ。


   ねぇさまでもおつかれになるんですか…!


   当たり前デース!
   比叡は私をなんだと思っているんデスカー?


   わ、わぁ。


   そんな事言う子は、こうしてやりマース!


   ご、ごめんなさい、ねぇさま。


   ふふふ、ゆるしまセーン。


   わーーー。


   ……ふふ、髪の毛ぐしゃぐしゃデース。


   うぅぅぅ…。


   比叡。


   …はい、ねぇさま。


   休んで躰を癒す事も艦娘がすべき仕事の一つ。
   疲れを残していてはBestな戦いは出来マセン。


   …はい。


   ふふ。
   今、Tea partyの支度をしているんデス。
   比叡が来てから未だ、一度もした事が無かったカラ。
   と言うより、出来なかったカラ。


   てぃーぱーてぃー…。


   Yes。
   Tea timeは大事なのヨ?


   ひえいもおてつだい、します。


   Oh, 手伝って呉れるノ?


   はい!
   このひえい!


   …。


   きあい!いれて!おてつだいします!!


   …ん、本当に元気で良い子ネ。


   なにをすればいいですか?!


   然うネ…じゃあ、Tea cupを並べて貰おうカシラ。


   はい、おまかせください!


   落とさないよう、気を付けてネ。


   はい!!


   ……。


   んしょ…。


   …。


   …あれ。
   あの、ねぇさま。


   なに、比叡。


   よっつ…。


   …ああ。


   よっつ、ならべるのですか?


   それは…榛名と霧島の分デス。


   はるなと、きりしま…。


   Yes.
   あの子達が早く、幌筵(ここ)に来られるように…あの子達の分、も?


   …はるな。


   …。


   ………はるな。


   …あの戦の頃、比叡は榛名とはあまり一緒に居られなかったデスネ。


   ……はい。


   …。


   ……。


   …。


   …ねぇさま。


   ん…?


   はるなも、くるでしょうか。
   うまれかわって、ここに、きてくれるでしょうか。
   あえるでしょうか。


   ...Sure thing.
   私と比叡が再会出来たように、榛名とも必ず。


   ……。


   早く逢いたいデスカ?


   …はい。
   はやくあって…おはなしが、したいです。


   お話…ネ。


   ……。


   ところで、霧島の事は?


   え。


   榛名の事ばかりダカラ。


   もちろん、きりしまにもはやく、あいたいです。


   なんだかついでみたいデスネ?


   つ、ついで?


   どっちでも良いような…。


   そ、そんなことないです!!


   …若しかして、私もついでデスカ?


   え、え?


   比叡が一番逢いたいのは榛名で、私や霧島は


   そ、そんなこと、ありません!
   ないです!!


   …ふぅん?


   な、ないですってばぁ!!


   …なら、良いケド。
   比叡。


   は、はい、ねぇさま!!


   スコーンがもうそろそろ、焼けるワ。
   沢山焼いたから、いっぱい食べてネ。


   はい、ねぇさま!
   ひえい、いっぱい、たべます!!


   …。


   ねぇさまはうたがおじょうずですよね!


   …うん?


   ひえい、ねぇさまのうたが、だいすきです!!


   …。


   わたしも、ねぇさまのようにうたえるようになりたいなぁ。


   …じゃあ、先ずは歌を覚えないと駄目デスネ。


   はい!
   きあい、いれて、おぼえます!!


   …。


   ふん、ふ〜ん。
   ねぇさまとてぃーぱーてぃ〜〜。


   …比叡、貴女が来て呉れて。


   ん、ねぇさま?


   本当に、良かった。
















  L o v e  w i l l  G r o w   e n d l e s s l y 















   Сенака ни атта цубаса ха кими то томо ни накушита,
   Тобета коро но киоку ха сурикизу но ёуни ха киете куренаи...........


   …。


   ...Цуки га ока wо юку якоутю wо хики цурете,
   Тецу казу но ичиничи га нани мо иwазу ни оwаттейку....,


   …。


   Боку га инаку темо чикю ха маwари цудукеру,
   Кими га инаи нара боку но аса ха ятте конаи ......


   書類整理、は、進みましたか。


   …。


   歌を歌うのは、結構ですが。


   …霧島。


   外れた歌が外まで聞こえていますよ。


   ……。


   今日の夕方までに片付きそうですか。


   ねぇ、霧島。


   何ですか。


   榛名。


   …?
   榛名が何か?


   いつ、来るのかな。


   …は?


   幌筵(ここ)に。


   …急に何ですか。


   遅いなぁって。
   榛名以外の姉妹はもう、揃ってるのに。


   …。


   いつ、来るんだろう。


   姉さん。


   霧島は榛名と双子のような関係と呼ばれていたよね。
   どんな子だった?


   …どんな子って。
   私が知っているのはふねだった頃のあの子です。
   艦娘である榛名の事は…少なくとも、此処に来る榛名の事は私にも分かりませんよ。
   恐らく、あの戦で最も一緒だった金剛お姉さまも。


   ふねだった頃の榛名でも良いよ。
   聞きたい。


   …。


   どんな子だった?


   …はぁ。
   姉さん。


   うん。


   あの戦が始まるよりもずっと前、竣工したばかりの榛名を出迎えたのは比叡姉さんだった筈です。
   それから船団を護衛したり、比叡姉さんは榛名と何度か行動を共にしていましたよね。


   う、うん…。


   榛名が御召艦に選ばれた時には、比叡姉さんが共奉艦を務める事もありました。
   確か、榛名が第一砲塔筒中爆発事故を起こした時も比叡姉さんと演習を行っていた時だった筈ですよね。


   …あの時は、血の気が引いたと言うか…「鉄の塊」(ふね)、だったけど。


   それなのにわざわざ、聞くのですか。
   双子などと、言い掛かりをつけて。


   言い掛かりじゃなくて…ただ、霧島から見た榛名の事が知りたいと思って。


   現実逃避はどうかと思いますが。


   いや、別にそういうわけ、では……。


   それ、ふねの頃の榛名の資料ですよね?
   また見てたんですか、飽きませんね。


   …あ、いや、これは。


   これは?


   …え、と。


   その資料、今必要ですか?


   必要…じゃ、無いです。


   ですよね。


   ……。


   比叡姉さん。


   や、ちゃんとやってるよ。
   これは一寸した息抜きで…。


   …。


   …本当ですから。


   目を開けて


   寝てません、寝てませんから。


   …。


   本当ですよ。


   金剛お姉さまがご帰還されるまでに必ず終わらせると言ったのは?


   私…です。


   …。


   あともう少し、だから。


   …はぁ。
   姉さん。


   …はい。


   姉さんも面識はあるんです。
   ふねの頃に。


   然うなんだけど。
   でも、あの戦では一緒じゃなかったから。
   私、一時期だけど、戦艦から外されてたし……いや、書類上では最後まで然うだったんだけど。


   それは榛名もですが。
   そしてあの戦に限って言えば、私も榛名とは一緒ではなかったです。


   …霧島から、見たら。
   榛名は…どんな姉だったのかなぁって。


   ……進水日は私の方が早かったですが。


   霧島から見たら…どんな子だったのかなぁって。


   今でなくても。
   いつかは、来るでしょう。
   この戦が続く限り、いつかは。


   …来るかなぁ。


   多分。


   …。


   で。
   他の榛名については、どう思うんですか。


   …え?


   他の場所に着任してる榛名について。
   挨拶ぐらいなら何度か交わしているでしょう。


   うーん…。


   …。


   …なんか違うなって。


   は?


   いや、榛名、なんだけどさ。
   なんか、違うんだ。


   ……。


   え、何…。


   比叡姉さん、榛名に夢でも見ているのですか。


   え、夢?


   多分、同じだと思いますよ。
   榛名、なのですから。


   ……。


   書類は…未だ、半分は残っていますね。


   …同じ、かな。


   …。


   …何処かの私と、此処に居る私は違う。
   何処かの霧島と、此処に居る霧島は違う。
   何処かの金剛お姉さまと、此処に居らっしゃる金剛お姉さまは違う。


   …。


   だから、榛名も。
   屹度違う、同じじゃない。


   ……。


   顔や声は、同じでも。


   夢、見過ぎです。


   …。


   さっさと片付けてしまいましょう。


   と、手伝って呉れるの?


   間宮さんのアイスで手を打ちます。


   あー…うん、分かりました。


   …。


   …。


   …姉さん。


   んー…。


   榛名は





   第一艦隊、帰還しました。
   繰り返します、第一艦隊が帰還しま…あ?





   あ?


   …予定時刻よりも早いですね。


   お姉さま、ご無事かな。


   比叡姉さん、姉さんは


   霧島、行こう。
   お姉さまを迎えに。


   …。


   霧島。


   …全く。
   ええ、行きましょう。





   Hey!My dear sisters!
   We're home!!





   …へ。


   え。


   比叡!霧島!


   金剛お姉さま?


   たった今、ご帰還を知らせる放送が…


   We're home!
   比叡、霧島!


   あ、はい、お帰りなさいませ、お姉さま。
   お怪我はありませんか?


   No, Hiei!
   “We are home”!


   ...?
   We are...?


   …まさか、お姉さま。


   Yes, Kirishima!
   She is our sweet home!





   ………。





   ……。


   ……榛名?


   Yes!!!


   ………。


   榛名、本当に、榛名が……。


   漸く、漸く、私達の元に帰ってきて呉れマシタ!
   これからはずっと、ずっと、一緒デース!!


   ……。


   …お帰りなさい、榛名。


   さぁ、榛名。
   比叡と霧島に、ただいまの………比叡?


   …………。


   比叡姉さん?


   比叡、What happened?


   ………。


   比叡姉さん、榛名ですよ。
   待ってた榛名がやっと…て、なんで固まってるんですか。





   あ、あの…ねえさま?





   ……。


   あ、あの…あの…。


   ……はる、な。


   は、はい。


   …。


   え、えと…こうごうがたせんかんさんばんかん、はるな、です。


   ………。


   ひえいねえさま、ですか…?


   …。


   あ、あの…よろしく、おねがいします…ひえいねえさ


   ………。


   …あ。








   思えば、あの感覚は。
   一目惚れに近いものだったのだろうと。
   今なら、思えるのです。








   第二艦隊、帰還しました。
   繰り返します、第二艦隊が帰還しました。





   お帰りなさい、姉さん。


   あ、霧島。


   お怪我は……入渠の支度は出来ていますが。


   これくらいなら、なんて事無いよ。


   然うは言いますが、小破


   私よりも駆逐艦の子達を先にしてあげて。
   皆、頑張ったんだよ。


   …然うですか。


   ねぇ、霧島。
   それより…


   ……。


   霧島、


   金剛お姉さまなら未だお帰りになっていませんが。


   あ、うん。
   …あ、いや、然うじゃなくて。


   ……。


   あの、榛名は…何処かなぁって。


   …居ますよ。
   此処に。


   え、何処。


   …はぁ。


   榛名、居るの?


   …榛名、比叡姉さんが呼んでいるわ。
   いつまでも私の後ろに隠れてないで出てきなさいよ。





   ………。





   あ、榛名。


   …あ。


   ただいま、榛名。


   あ、あの…。


   ただいま。


   …!


   あれ…。


   …。


   榛名?
   どうしたの?


   ……お。


   お?


   お、おかえりなさい、ませ…ひえい、ねえさま。


   !
   うん、ただいま戻りました!


   ……。


   榛名。


   ……。


   …え、と。
   霧島…?


   はぁ。
   姉さん。


   榛名、なんで霧島の後ろに隠れたままなのかな…。


   姉さんの今の姿、ちゃんと分かっていますか。


   え?


   服はぼろぼろ。
   肌は煤けて、血で汚れている。


   あー…。


   接近戦(なぐりあい)でもしたのですが、敵の体液らしきものも付着していますよ。


   いや、でも、出陣から帰ってきたらいつもこんなもんだし、


   然うですね。
   でも、今の榛名にはそれがどう見えているのでしょうか。


   ……でも。


   幼子は不浄なものを嫌うそうですよ。


   不浄なもの…。


   それが艦娘である私達にも当て嵌まるかは甚だ、疑問ではありますが。


   …私、そんなに汚れてるかな。
   榛名には、然う見えるのかな…。


   私にはいつも通りにしか見えません。
   けど、榛名の目には然う映っているんでしょう。
   で、なければ。





   ……。





   あまり懐かれていないとは言え、ここまで避けられるのはどうかと。


   …霧島、それかなり抉ってる。


   せめてお風呂に入ってきては如何ですか。


   …けど。


   榛名は逃げませんよ、多分。


   ……霧島は本当に抉ってくるよね。


   榛名、比叡姉さんはお風呂に行くみたいだから。
   一緒に部屋で待って





   …。





   …榛名?


   あ、あの…。


   うん…?


   は、はるな、まってます。


   …。


   まって、ます……ひえい、ねえさまのこと。
   きりしまと、いっしょに…。


   …私の事、待ってて呉れますか?


   は、はい…はるな、まってます。


   …。


   あ、あの…はるな、ひえいねえさまのおはなし、ききたいです…。
   ひえいねえさまのこと、もっと…。


   ……うぅ。


   …?
   ひえい、ねえさま…?


   あー!


   …ッ。


   気合!入れて!!
   お風呂、行ってきます!!!!


   …。


   榛名、行ってきます。


   は、はい…いってらっしゃいませ、ねえさま。


   はい、行ってきます。
   …あ、然うだ。


   …?


   後で一緒に、間宮さんに行きませんか。


   え…。


   帰ってきたら一緒に行こうと、帰還中ずっと考えていたんです。
   駄目、ですか。


   あ、いえ……はるなで、よければ、ごいっしょいたします。


   うん、有難う御座います。
   では比叡、行って参ります。


   はい…いってらっしゃいませ、ねえさま。


   …。


   ……ねえさま。





   …はぁ。





   …?
   きりしま…?


   全く。
   まるで口説いているようじゃないの、あれ。


   …?
   くどく…?


   実の妹だと言うのに。
   何処か他人行儀ね、姉さんは。
   それと私の事、完全に忘れてる。


   ……。


   榛名、部屋に戻るわよ。


   きりしま。


   何かしら。


   ひえいねえさまは…


   どんな人かと、聞くのは止めてね。
   それは自分で知ってゆくべき事だから。


   …。


   …確かに待ってはいたけれど。
   まさか、あれ程までとは…ね。


   …。


   …確かにいきなり抱き締めたりはしたけど。
   姉妹艦ならばそれぐらいは…


   きりしま。


   …何、榛名。


   ねえさまはいつも、ああなの?


   …。


   いつも、あんなふうに…。


   戦うと言う事はああいう事でしょう。
   今更、何を言っているの。


   …。


   姿は変わったとしても。
   やるべき事はふねの頃と、何一つ、変わっていないわ。


   …。


   貴女もいずれ、海に出る事になる。
   分かっているでしょう?


   ……ちがう。


   何が。


   はるなが、ききたかったのは。


   …。


   ひえいねえさまは、いつも…あんなふうに、わらうの。
   あんなふうに…。


   …。


   ……おひさま、みたいに。


   …おひさまかどうかは、分からないけど。
   大体、いつもあんな感じよ。
   大体、気が抜けたような笑顔で、こっちの気も抜けてしまうの。


   …。


   …でも、然うね。
   少しだけ、金剛お姉さまに似ているわ。


   こんごうおねえさまに…。


   ほんの少しだけ、だけど。


   ……。


   さぁ、行くわよ。
   あの勢いだと本当に躰を洗ってくるだけだろうから。


   …?
   だめなの…?


   …。


   きりしま…?


   …まぁ、良いわ。
   行くわよ、榛名。


   …。


   榛名。


   …うん。


   ……。


   ……ひえいねえさま。








   …今、振り返れば。
   その時にはもう、恋に落ちていたのだと。
   然う、思うのです。








   榛名。


   …!


   榛名。


   ひえいねえさま。


   待たせちゃって、ごめんね。


   い、いえ。
   はるなは、だいじょうぶです。


   じゃあ、行こうか。


   あ、あの、ねえさま…。


   はい、何ですか。


   おけがは…。


   ああ、大丈夫です。
   ほら。


   ……。


   …と、言いたいところなんですけど。
   明石さんに見つかってしまって。
   駄目に決まってるでしょうと言われてしまいました。


   あかしさん…?


   なので、後で整備に行かないといけなくなってしまいました。
   これくらい、大丈夫なんですけど…。


   だ、だめです。


   うん?


   おけがはちゃんとなおさないとだめです…。


   …。


   …だめ、です。


   うん…分かった。
   じゃあ後で行ってきます。


   …。


   でも、今は。
   榛名と一緒に。


   はるなはあとでも…


   楽しみにしていたんです。


   …え。


   榛名と間宮さんに行く事。
   思いついた時から。


   …。


   だから…断られなくて良かったです。


   こ、ことわる、なんて…はるなには、もったいないです…。


   え、えと。
   改めて、一緒に行きませんか。


   …はい、はるなでよろしければ。


   ああ、良かった。


   …。


   じゃあ、行きましょうか。
   榛名。


   …はい、ひえいねえさま。


   …。


   …?
   ねえさま…?


   えと…良ければ、なんですけど。


   …。


   …あ、いや、嫌なら良いんです。
   一寸、欲張り過ぎました。


   …。


   え、えと。
   私、綺麗になりましたか?


   …。


   服も着替えたし…汚く、ありませんか。


   …。


   …えと、未だ臭うかな。


   あ、あの。


   あ、はい。


   …はるな、うれしいです。


   あ…。


   …。


   榛名…。


   ……うれしいです、ねえさま。


   …うん。


   ……ねえさまのては、おおきいですね。
   はるなのて、かくれてしまいました…。


   実はね、榛名。


   …はい。


   私の手、此処に居る誰よりも大きいんです。
   お姉さまや霧島、伊勢や蒼龍さん…空母の人よりも。


   …。


   まぁ…今のところは、ですけどね。


   …いまのところは、ですか?


   長門や大和、他の空母の人達が来たら。
   屹度、私の手よりも大きいでしょうから。


   …。


   榛名の手はちっちゃいですね。


   …はるなのて、ひえいねえさまのようにおおきくなるでしょうか。


   このままでも良いですよ。
   小さくて可愛いから。


   だ、だめです。
   はるなもせんかんなんですから。


   …。


   はるなは、せんかんなのだから。
   ちいさいままでは…だめ、なんです。


   …うん、然うだね。
   ごめんね、榛名。


   ……。


   …ねぇ、榛名。


   …。


   榛名の背中、私に守らせて呉れませんか。


   …え。


   その代わり、と言ってはなんですが。
   私の背中を、守っては呉れませんか。


   …。


   常に一緒に出陣出来るわけではありませんが…それでも、一緒の時は。
   榛名が居て呉れれば、私は、屹度…。


   …はるなが、ねえさまの。


   いや、こんな約束はするべきではないのかも知れません…でも、それでも。


   ……。


   …いえ、聞かなかった事にして下さい。
   私、何を言っているのかな…。


   はるなで、よければ。


   …。


   はるなで、よければ…まもらせて、ください。


   ……。


   …はるなで、よければ。


   ……有難う、榛名。


   …。


   …どうしよう、凄く嬉しいや。


   ねえさま…。


   気合、入れないと、駄目ですね。
   これからは、もっと、もっと。


   ……はるなも、うれしいです。
   すごく、すごく…うれしいです。


   …うん。


   ねえさまのて…あったかいですね。


   お風呂、入ってきたばかりですから。


   …たぶん、ちがうとおもいます。


   …。


   ねえさまのてが、あったかいんです…。


   …冬でも。


   ふゆ…。


   幌筵(ここ)の冬はとても厳しいんだけど…それでも、私の手はあったかいんです。


   …。


   だから…若しも榛名の手が冷たくなってしまったら、その時は、榛名の手を温めてあげるね。


   …。


   …え、えと。


   ……ねえさまは、おやさしいんですね。


   …。


   こんなはるなにも…。


   …ずっと、待ってたんだ。


   …。


   榛名が来るのを。
   ずっと、待ってた。


   …。


   ずっと…会って、話がしたかった。
   したかったんだ、榛名。
   だから。


   ……はるなも。


   …。


   はるなも…ねえさまに、あいたかった。
   それなのに…。


   …。


   …かくれてしまって、ごめんなさい。


   ううん、良いよ。
   今、こうしているから。
   これからも、こうする事が出来るなら。


   ……。


   来て呉れて有難う、榛名。


   …はるなの、こと。


   うん。


   まっててくれて…ありがとう、ございます。


   ……。


   ……はるな、しあわせです。


   榛名…。


   …ここで。


   …。


   こんごうおねえさま、きりしま……そして。
   ひえいねえさまに、おあいできて…ほんとうに、よかった。


   ……。


   …う。


   ……榛名。


   ねえさま、くるしい…です…。


   …ごめん。
   でも、少しだけ…。


   …。


   …許して、下さい。


   ……。


   ……少しだけ、ですから。


   ………はい。


   ……。


   ……。





   それで、いつまでやってるんですか。





   …。


   …。


   あれ、居たの?
   みたいな顔、してますね。
   ええ、居ましたよ、先程から。


   …え、と。
   霧島、いつから…?
   私が来た時、居なかったよね…?


   …。


   ええ、少し外していたので。
   然うですね、告白大会を始める少し前くらいからでしょうか。
   それこそ、べたな恋愛ドラマも真っ青な。


   こ、告白大会…?


   …。


   それで。
   間宮さんに行くんじゃなかったんですか。


   あ、うん、行きます…。


   …。


   榛名、比叡姉さんにちゃんと驕ってもらうのよ。
   勿論、一番高いものを。


   霧島、良かったら霧島も…


   …。


   結構です。
   では、行ってらっしゃい。
   姉さん、戻ってきたらちゃんと明石さんの整備を受けて下さいね。


   …はい。
   じゃあ、行ってきます。


   …きりしま。


   何、榛名。


   榛名?


   …いってきます、きりしま。


   ……ええ、行ってらっしゃい、榛名。


   …?
   え、と…?


   ……。


   …では、また後に。








   …あの時にはもう、既に。
   互いに、惹かれ合っていたのだと。
   本当は、気付いていました。








   …。


   …。


   ……美味しいですか?


   …はい、おいしいです。


   ああ、良かった。


   …これがアイス、なのですね。


   はい、苺のアイスです。


   いちごの…。


   …気に入った?


   ……。


   ふふ、良かった。


   …あの、ねえさま。


   ああ、急がないで良いですよ。
   ゆっくり食べて…いや、そうすると融けてしまうんですけどね。
   なかなか難しい所です。


   ……。


   もっと食べますか?


   …え。


   はい、どうぞ。


   で、でも、それはねえさまの…。


   良いんです。
   私は何度か霧島と食べてますから。
   と言うより、何度か驕ってると言いますか。


   きりしま、と…。


   書類整理をしているとつい、寝てしまって。
   そのたびに小言を言いながらも、手伝って呉れるんです。


   …。


   実は寝てるばかりじゃなくて、その、ふねだった頃の榛名の…


   きりしまも、すきなのですか。


   うん?


   …いちごのアイスが。


   ああ。


   …。


   好きみたいです。
   良く頼んでいるから。
   他には…


   …だから、はるなに。


   …?
   榛名…?


   ……。


   榛名、どうしたの?


   …いいえ、なんでもありません。
   あの…ごちそうさまでした、ねえさま。


   え、未だ残っているけど。


   …はるな、おなかいっぱいです。


   もう?


   のこしてしまって、ごめんなさい…。


   いや、良いですよ。
   気にしないで下さい。


   …。


   じゃあ、私が貰っても良いですか。


   …え。


   此処では残すのは原則、厳禁なんです。
   入ってくる物資が少ないので。


   そ、そうなのですか…。


   でもだからって、無理はしないで良いからね。
   お腹が痛くなったら、大変だから。


   …。


   ……。


   …あの、ひえいねえさま。


   ん、なに?


   ひえいねえさまは…なにが、おすきなのですか。


   私、ですか?


   はい…。


   私は…然うだなぁ、昼寝が好きです。


   おひるね…ですか。


   気持ちが良いんですよ。
   夜に眠るのとはまた違った良さがあるんです。


   あの…はるなが、きいているのは。


   食べ物、ですか?


   …はい。


   然うですね、間宮さんにある甘いものなら何でも好きです。
   何より、金剛お姉さまが焼いて下さるスコーンやクッキーが好きです。
   とても美味しいんですよ。


   すこーん…くっきー…。


   榛名は未だでしたね。
   金剛お姉さまはこのところずっとお忙しいから…でも屹度、焼いて下さると思います。
   紅茶パーティーをしながら…然う、お姉さまが淹れて下さる紅茶もとても美味しいんですよ。


   …。


   ごはんで言ったら…お魚が好きです。
   お肉よりも、お魚の方が好きですね。


   ねえさまはおさかながすきなのですか…?


   はい、特に煮付けが好きです。
   鳳翔さんが作って呉れる煮付けはどのお魚でも美味しいんですよ。


   につけ…。


   あとは…苦手なものは、苦いものです。
   それから、酸っぱいのも少し…。


   にがいもの…すっぱいの…。


   …内緒、ですよ?


   は、はい…。


   …ピーマンが苦手です。
   子供みたいだと、霧島には言われるんですけどね…。


   ぴーまん…。


   残すのは厳禁だし、駆逐艦の子達も居るし、何より霧島から小言を喰らうので、いつも残さずに食べてますけど。
   でもあの苦みは不得手なままです。
   あの苦みが良いと言う娘は居ますけど…私はどうにも、苦手です。


   …。


   でも、あの苦みさえ無ければピーマンも平気へっちゃら、なんですけど。


   …へいきへっちゃら?


   然う、平気へっちゃら。
   でもあの苦みはなかなか手強くて…?


   …。


   榛名…?


   …ふふ。


   …。


   へいきへっちゃら、なんですね。


   うん、然うです。
   平気へっちゃら、です。


   ふふ…ふふ…。


   ……。


   …ねえさま。


   ん…?


   …はるなにも、できるでしょうか。


   出来る…?


   …ほうしょうさんの、ように。
   おりょうり、できるでしょうか。


   ああ。
   屹度、出来るよ。
   榛名なら、屹度。


   …。


   鳳翔さんに教えて貰えるよう、ふたりでお願いしに行きましょうか。


   …そしたら。


   え…?


   はるながぴーまん、にがくないようにして…ねえさまが、たべられるように。


   …。


   そしたら…へいき、へっちゃら…ですよね?


   …うん、平気へっちゃらです。


   …。


   そしたら、幾らでも食べられるよ。
   然う、幾らでも。


   …はるな、


   …。


   ……きあい、いれて、がんばりますね。


   それ、私の…。


   ………。


   うん…楽しみに、しています。
   有難う、榛名。


   いいえ…いいえ…はるなに、できることなら。
   ねえさまに、できることなら……はるなはいくらでも、がんばれます。


   榛名…。


   あ、あと。
   おさかなのにつけも、がんばってつくれるように、なります…なりたいです。


   ん…出来るよ、榛名なら。


   そしたら…たべて、くださいますか。


   …はい、勿論。
   その時は一番に。
   お代わりもすると思います、いや、絶対にします。
   誰にも榛名が作って呉れたごはんは譲りません。


   …こんごうおねえさまにも、ですか?


   …。


   …。


   …金剛お姉さまと一緒に頂きます。


   ……ふふ。


   と…そろそろ、行きましょうか。
   あまり遅くなると、霧島が迎えに来そうで。


   ……きりしま。


   …本当はもっと、榛名とお話していたいんですけど。


   …。


   間宮さん、ご馳走様でした。
   お勘定、良いですか。


   きりしまは。


   …ん?


   きりしまはいつも、ひえいねえさまと…。


   …。


   ……いえ、なんでもありません。
   ごちそうさまでした…。


   榛名が、好きなもの。


   …。


   もっと、知りたいと思ってるから。
   だからまた、一緒に。


   …。


   え、と。
   たまぁにですけど、バニラアイスに本物の苺が乗る時があるんです。
   こんなご時世だから滅多には無いのですけど…。


   ほんもの…。


   …苺のアイスとは言いましても、本物の苺は使われていないそうです。
   あくまでも似せて作られたフレーバー…らしくて。
   私には分からないのですが…金剛お姉さまには分かるみたいです。


   …。


   だから…その時もまた、一緒に。
   そんなだからとても人気があって食べられないかも知れないけど…でも、叶うなら一緒に。


   …はるなでも、いいのでしょうか。


   榛名が良いんです。


   …。


   あ、いや、その…榛名と一緒に食べたいです。


   ……。


   …嫌、ですか。


   ……ごいっしょ、


   …。


   させて…ください。


   …じゃあ、約束しましょう。


   …。


   ゆびきりげんまん。


   …ゆびきりげんまん。


   …。


   …。


   …良し、戻りましょうか。


   はい…ねえさま。


   ご馳走様でした、間宮さん。


   ごちそうさまでした。


   …え?


   …?


   あの、これは……え、はるが来たお祝い?
   ええ、榛名は来ましたけど……え、違う?


   …。


   あ、いえ……あぁ、はい。
   では、ご馳走になります。
   有難う御座います。


   …ねえさま。


   間宮券、貰っちゃった。


   まみやけん…?


   間宮さんの甘味がどれでも一つだけ、タダになる券です。
   でも、なんでだろ…。


   …。


   …まぁ、いっか。
   はい、榛名。これは榛名の分です。


   …。


   榛名?


   …ねえさまがもっていてください。


   私が?


   …それでまた、はるなをさそってください。


   ……。


   ……。


   …うん、分かった。
   じゃあ…また、ね。


   …はい。








   あれ、霧島じゃない。


   …。


   霧島が道場に来るなんて、珍しいわね?
   良かったら手合せ、するけど?


   いいえ、結構よ。


   金剛型は普通、これはやらないもんね。
   比叡くらいかな、やるの。


   …。


   それ、比叡の木刀だけど。
   なになになに、お姉ちゃん取られちゃって寂しいの?


   そんなわけ、ないでしょう。


   然う?
   じゃ、なんで道場に来たの?
   用事なんて無いんじゃない?
   それこそ、比叡の木刀になんて、ね?


   姉さんは。


   うん。


   なんでこれをやるのかと、思っただけよ。


   そりゃあ…守る為、じゃない?


   …守る為?


   金剛と霧島、それから榛名の事を。


   …砲撃戦に刀は


   然うかな。


   …。


   力は一つでも多い方が良いでしょ。
   浮き砲台になろうが、戦い抜く為には。
   手段なんて、構ってらんないわよ。


   …。


   それに戦艦で唯ひとり、殴り合いをかました事のある霧島だったら似合うと思うわよ、刀。


   冗談じゃないわ。


   でも、殴り合いをしたのは本当の事じゃない。
   航空戦に移っていた、あの時代に。


   やらなければならないから、やっただけよ。


   然う、やらなければならないのなら、やらなくちゃいけない。
   これも同じ事だと思うわよ。


   …姉さんは、どうなの。


   ん、比叡が何。


   これの腕。


   まぁ、悪くないわよ。
   戦艦だもの。


   …然う。


   一番先に、沈んだから。
   誰も、守れなかった。


   …。


   だから、今度はってね。
   でもそれじゃあ、誰が比叡を守るんだか。


   …私達が居るわ。


   金剛型だけじゃないわよ。
   私も居る。


   …。


   こんな姿で生まれ変わって、また縁を結んだんだもの。
   こんな姿に生まれ変わって、新しい縁を持ったんだもの。


   伊勢。


   なに?


   榛名の事。


   ん、任せて。
   でも。


   …。


   比叡が離さないかもね。
   今も榛名と一緒に居るんでしょ、入渠もちゃんとしないでさ。
   明石さんが言ってたわ。


   …姉さんが。


   他所の比叡はほら、金剛金剛言ってるじゃない?
   でもうちの比叡はどうやら、違うみたい。
   若しかしたら、若しかするかも。


   …それでもあの人の目には。


   ん?


   お姉さましか、映ってないわ。


   …。


   それは、変わらないのよ。
   比叡姉さんは金剛お姉さまを


   変わるんじゃない?
   私達は確かに私達だけど、でも、同じじゃないでしょ?
   霧島は他所の霧島を見て、自分と全く同じだと思う?
   思わないんじゃない?


   …。


   自分は自分。
   誰にもなり得ない。
   それが仮令、他所の自分だとしても。


   …姉さんと同じ事、言うのね。


   多分、金剛も言うと思うわよ〜。
   だって、然うなんだもの。


   …。


   比叡、榛名に取られちゃって寂しい?


   いいえ、全く。


   素直じゃないな〜。
   なんだかんだ言っても一緒に居たのに〜。


   必要以上には居なかったわよ。


   私は「二人姉妹」だから「四人姉妹」の気持ちは分からないけどさ〜。


   扶桑と山城は?


   あー…ちょぉっと、違うんだなぁ。


   …これ、日向の?


   あ、然う然う。
   日向の。
   早く来るように、ね。


   来ると良いわね。


   うん、然うね。
   全く、お姉ちゃんをこんなに待たせて。
   姉不幸な妹だわ。


   …。


   …少しね、比叡の気持ち分かるんだよね。


   姉さんの?


   妹を待つ気持ち。
   特に比叡は榛名との関わりが少し薄かったから。
   あの戦では、だけど。


   …。


   ちなみに、比叡は霧島の事もちゃんと待っていたわよ。
   だから着任した時、喜んで呉れたでしょ?


   …然うだったかしら。


   然うだって。
   まぁ、金剛もだけどね。
   此処に来たのは金剛が一番だったから、彼女が一番妹達を待ってた。


   …。


   で。
   明石さんに言ったの、霧島でしょ?


   …何の話かしら。


   比叡の入渠の事。
   全艦娘の整備責任者である明石さんに言われれば比叡は従うしかないもの。
   んで、それでも従わなければ、秘書艦である鳳翔さんに言うつもりだったんでしょ?


   そもそも姉さんが入渠しないのが悪いのよ。 
   それも務めの一つだと言うのに。


   …。


   …何、伊勢。


   ううん、妹って可愛いなぁって。
   お姉ちゃん、思わず心が跳ねちゃう。


   はぁ?


   日向、早く来れば良いのに。
   どこで油、売ってんだか。


   …。


   此処に来る日向は…どんな子かな。
   ほんと、早く来いっての。


   伊勢。


   んー?
   あ、やっぱやる?


   やらないわよ。
   私は姉さんじゃないから。








   Кими wо тори модосу соребакари кангаетейта,
   Токи но дакурю ни ошинагасарете шимаwануёу..............


   ……。


   .......Тотсузен ёру га хазикета хикари га сора ни тобы читта,
   Тамаразу тозита мабута wо акеру то соко ни кими га ита...


   …。


   Сенака ни атта цубаса ха има я моу хицуёу наи,
   Араи тате но таиёу га боку ра wо ясашику терашитеру...


   ……。


   Корекара ха даичи wо хумишимете,
   Кими wо даите аруите икоу..........


   …。


   …。


   …ねえさまのうた、はるな、すきです。


   …。


   …だいすきです。


   霧島には。


   …。


   外れていると、いつも言われてしまいます。
   けど、それでも、私は歌うのがどうにも好きみたいで。
   止める事が、出来ない。


   …きりしまは、そういうつもりじゃないとおもいます。


   うん…知ってる。
   苦笑いはされるけど、止めろとは、言われないから。


   …。


   金剛お姉さまの歌はとても、綺麗で。
   私もそういう風に歌いたいと、思っているのですけど。
   私には難しいみたいです。


   ひえいねえさまの、こえは。


   …。


   とても、きれいだと……はるなは、おもいます。


   …有難う、榛名。


   …。


   歌は、良いものです。
   とても、とても。


   …はい。


   榛名も歌が好きですか?


   …はるながまだ、ふねだったころ。


   …。


   はるなにのっていた、ひとのこたちがうたっていました。
   はるなはいつも、それをきいていました。
   それはたのしく、いさましく……いっしょにうたいたいと、おもっても、はるなはてつのかたまりで。
   ことばをつむぐことなんて、できなくて。


   …うん、分かります。


   だけど、いまだったら。
   この、すがただったら。


   ねぇ、榛名。


   …はい。


   一緒に歌おうか。


   …はい、はるなでよければ。


   榛名が良いんだよ。


   …。


   …私は未だ、上手には歌えないけど。
   榛名と一緒に歌いたいと、思うんです。


   ……。


   あの頃の歌、今の歌。
   たくさん、たくさん、歌はある。生まれている。今、こうしている間にも、屹度。
   楽しい歌、悲しい歌、切ない歌、嬉しくなるような歌…本当に、数多く。


   はるなに、おしえてくださいますか。


   私が教えなくても…いや、一緒に聞きましょう。


   …。


   そして…ふたりで覚えれば良い。
   然う、思うのですけど…どうでしょうか。


   ……ねえさまが、そう、おっしゃるのなら。
   はるなも、そうしたいです…。


   うん…。


   …でも、ひえいねえさま。


   うん?


   いま、ねえさまがうたっていたうたを…はるなはいちばんに、おぼえたいです。


   …今の歌をですか?


   はい…。


   …。


   ……だめ、でしょうか。


   いや…駄目じゃない、良いよ。


   ありがとう、ございます……はるな、とてもとても、うれしいです。


   …。


   …?
   ねえさま…?


   …。


   ね、ねえさま…。


   …。


   あ、あの…あの……。


   ……我慢、してたんだけどなぁ。
   やっぱり、駄目だったなぁ…。


   ねえさま………。


   …霧島には内緒。
   ね…?


   でも、でも、おけががやっぱり…。


   これは怪我のせいじゃないよ。


   けれど…。


   榛名とこうしてる事が、嬉しくって、楽しくって、だから。


   はるな、と…。


   榛名。


   は、はい。


   榛名とまた、出逢えて良かった。
   本当に、本当に、嬉しい。


   …あ。


   榛名。


   ……ねえさま。


   …少しだけ、こうしてても良いですか。


   ……。


   …嫌だったら、離します。


   ……いいえ。


   …。


   ……どうか、このまま。


   …うん。


   ……。


   ……。


   ……。





   …で。
   いつまで、然うやってるつもりなんでしょうか。





   …。


   …。


   その顔、もう良いですから。
   感極まって抱き締めてしまうのは結構ですけど、此処が何処だか分かってますか。
   姉妹だと言う事を考慮したとしても、どうかと思いますが。


   …霧島。


   ……きりしま。


   姉さん、いい加減入渠して下さい。明石さんが待っています。
   榛名、一番高いものを奢って貰った?何でも驕って呉れたでしょうから。


   …はい、今行きます。


   …いちごの、アイスを。


   苺の?
   もっと高いのをねだれば良いのに。


   …じゃあ、榛名。
   また後でね。


   …はい、ねえさま。


   ……。


   霧島、そんな怖い顔しなくても行くから。


   …。


   元からこんな顔です。








   …遅く、なっちゃったな。


   …。


   練度が上がると時間が掛かってやだな…。
   仕方無いんだけど、やだな…。


   …。


   榛名はもう、寝ちゃったかな…寝ちゃったよな。
   夕ごはん、一緒に食べたかったな…。


   …。


   …でも一緒に間宮さんに行けたから。
   楽しかったな…ほんとに、楽しかった。
   今度は何を食べようか…榛名、笑って呉れたら良いな…。


   …。


   また…一緒に行こう、必ず。
   その為に、気合入れて、頑張らないと。


   …。


   明日起きれば…起きても、榛名は居るんだ。
   居なかった頃、待っていた頃とはもう、違うんだ。


   …。


   …一番におはようって言いたいな。
   お姉さまよりも、霧島よりも、誰よりも先に…。


   ……。


   …おかしいな、私。
   榛名の事ばかり、考えてる……榛名が来て呉れた日から、ずっと。


   …。


   …心の中、榛名の事でいっぱいになってる、なってゆく。


   …。


   ……お姉さまの事は誰よりも、誰よりも、誰よりも、何よりも、尊敬してる、敬愛してる。
   霧島の事は…大切な妹で、今度こそひとりでは戦わせないと決めた。
   じゃあ、榛名は……。


   …。


   …ずっと、逢いたかった、妹。
   然う、ずっと、ずっと……私に成る前から、ずっと。


   …。


   …本当にどうしちゃったんだろう、私。
   良く、分からない…分からないや。


   …。


   …でも、これが私なんだ。
   誰でもない、これが、私なんだ。
   比叡は、此処に居る、私なんだ。


   ……。


   …榛名、待ってて呉れないかな。
   また後でねって、約束したから…。


   …あ。


   ……もっと、榛名の事が知りたい。
   もっと榛名だけを……見て、いたい。


   ねえさま。


   …?


   ひえい、ねえさま。


   …榛名?


   あの、おかえりなさいませ、ねえさま…。


   …。


   あ…。


   …本当に、榛名?


   は、はい…はるな、です。


   …もう、寝てると思ってた。


   きりしまには、ねるように、いわれました…けれど。


   …けれど?


   やくそく、しました、から。


   …。


   …またあとでね、と。
   ひえいねえさまと、やくそく、したから。


   ……あぁ。


   …。


   …榛名。


   は、はい…。


   …有難う、榛名。
   約束、憶えていて呉れて。


   は、はるなは…。


   …。


   …はるなは、わすれません。
   ねえさまとしたやくそく、それだけはなにがあっても……わすれません。


   ……榛名。


   ねえさま、おけがはだいじょうぶですか…?


   …はい、もう大丈夫です。
   艤装も…明石さんが見て呉れました。
   問題、ありません。


   そうですか…よかったです。


   …。


   …あの、ねえさま。


   榛名、今夜は一緒に眠りませんか。


   え…。


   …一緒に、眠って呉れませんか。


   は、はるな、は…。


   …霧島には私から言います。
   だから…お願いします、榛名。


   …!


   ……離したく、ないんです、離れたく、ないんです。
   おかしな事を言っているのは、分かっているんです…でも、それでも。


   ねえ、さま…。


   ……榛名、私の心の中は貴女で。


   …。


   …いえ、すみません。
   待っていて呉れただけで、十分なのに…。


   …。


   …さぁ、もう遅いですから。
   おやすみなさい、榛名。


   あ、ねえさま…。


   また、明日。
   明日…また。


   ねえさま。


   …私が離せなくなる、前に。


   はるなで、よろしければ…!


   …。


   はるなで、よければ…ううん、はるなも。


   …。


   はるなも、ねえさまと、いっしょに……。


   …。


   ……ねむりたい、です。


   …あぁ。


   だ、だから、ひえいねえさま……。


   …一番に。


   ねえさま、はるなと…。


   おはようって、言える。
   一番に、榛名に。


   …え。


   榛名。


   は、はい。


   一緒に…眠って呉れますか。


   ……はい、ねえさま。





   ……。





   …霧島、聞いていたんでしょう。


   ……ええ。


   そういう事、だから。


   …そんな事だろうと、思ってましたから。
   食事は大丈夫ですか。


   うん、食堂に寄って少し食べてきたから。
   鳳翔さんがおにぎりを作って呉れたよ。


   …然うですか。


   霧島、今夜は。


   私は姉さん達の部屋で休ませて頂きます。
   金剛お姉さまには私から言っておきますので。


   ベッドは…榛名のを使わせて貰うから。
   霧島のは


   良いですよ、いちいち言わなくても。
   分かっていますから。


   有難う…おやすみ、霧島。
   また、明日。


   …おやすみなさい、比叡姉さん。
   おやすみ…榛名。
   また、明日…。








   ……。


   …ねえさま。


   ……苦しくないですか?


   はい…はるなは、だいじょうぶです。


   …苦しかったら、言って下さいね。


   いいえ、だいじょうぶです…。


   …。


   …ねえさまは、くるしくないですか。


   はい、私も大丈夫です…。


   …。


   …。


   …ねえさまはあったかいですね。


   榛名も…とても。


   はるな、あんしんします…。


   …うん、私もです。


   …。


   …明日になったらまた、話をしましょう。
   時間、頑張って、作りますから…。


   はい…。


   ……榛名。


   ん…ねえさま。


   ……貴女におやすみのキス、を。


   …。


   …金剛お姉さまのようには、やっぱり、いかないですね。


   …。


   ん…榛名。


   ……あなたにも、おやすみの、きすを。


   …。


   ……。


   …おやすみ、榛名。
   また…明日、に。


   はい…おやすみなさいませ、ねえさま。
   また…あした。








   ...the second