理事長挨拶   



理事長 吉野 博

*****************************【【吉野プロフィール】(2017年2月現在)

 1992年 東北大学工学部・建築学科教授に昇任後、1997〜2012年3月まで年東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻教授。 2014年4月〜東北大学教養教育院 総長特命教授。
 
 2011年より日本学術会議会員。2013年5月〜2015年5月日本建築学会会長。現在、研究活動の傍ら秋田県立大学客員教授、前橋工科大学客員教授、日本学術会議会員、日本臨床環境医学会副理事長、日本サステナブル建築協会会長等を務める。ほか多数兼務。
 
 2013年5月日本建築学会東北支部功労賞、同年月空気調和・衛生工学会井上宇一記念賞等受賞。ほか


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住まいと環境 東北フォーラムがめざすもの

健康で快適な住まいとは何か、そしてまたエネルギー消費や廃棄物などによって環境に負荷をかけないようにするためにはどうしたらよいか、このようなことを生活者や住宅建設関係の方々と一緒に考えていこうというのが「住まいと環境 東北フォーラム」の目的です。このフォーラムは、いわゆる新省エネルギー基準が公布された19926月に発足し、今年で20年になります。

この間、東北フォーラムは、公開シンポジウム、研究集会、見学会、講習会、研修会などを通して、住宅において健康性・快適性・省エネルギー性を実現するための様々な情報を発信してきました。特に、シックハウス、ヒートショック、ハウスダスト、結露やカビなど健康を損なう問題や地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出削減の方策などに関して情報を共有してきました。その結果、東北地域における住宅の熱・空気環境から見た性能はかなり良くなってきたといえると思います。明らかに断熱性能は向上し冬期の室内温度も上昇してきております。しかしながら、シックハウス問題は未だ解決されておりません。結露やカビの発生と子どもたちのアレルギー疾患との関係が強いことについては統計的な調査で明らかとなっています。また、浴室内の寒さが死亡事故と関連の高いことが報告されています。

そのような中、昨年3月の東日本大震災が発生し、多くの人命が失われ、また多くの方が仮設住宅での居住を余儀なくされております。引き続いて発生した原発事故による電力供給不足のために、夏、冬とも電力使用の抑制を強く要請されました。震災を契機として明らかになってきたことは以下のような点です。

震災後、エネルギーの供給停止により暖房ができなくなりましたが、断熱性能の高い住宅では、温度の低下が抑えられました。このことにより、高い断熱性能のプラス効果が明らかになりました。

住宅自体でエネルギーを供給することに対するニーズ、即ちゼロエネルギー住宅、プラスエネルギー住宅の必要性が高まりました。国の住宅政策においても、2020年までに新築の平均でネット・ゼロ・エネルギー住宅を目指すことが示されておりますし、建築・環境省エネルギー機構では、LCCM住宅(ライフサイクルでCO2発生量をマイナスにする住宅)の認定制度が発足しています。

仮設住宅では、特に結露・カビの問題が多くの居住者を悩ましており、原因としては不十分な断熱、不十分な換気設備と不適切な換気運転、室内での水蒸気発生などがあげられます。仮設住宅とはいうものの、数年間は居住することになる住宅ですから、少なくとも健康性・快適性は確保されるべきです。

以上のような状況を見てみますと、住宅の室内環境やエネルギー性能において解決すべき問題や挑戦すべき課題が山積しているといえます。

東北フォーラム会員には、工務店、設計事務所、ハウスメーカーの方々、エネルギー供給、設備関連、建築関連、情報産業などに関わる方々、大学、高専関係者などが参加されており、会員の方々との情報共有と、生活者や住宅建設関係の方々への情報発信を継続的に行っていく必要があります。

 幸い、大学・高専を含む会員は、様々な形で国や自治体が進めている事業に深く関わっております。最近では、国土交通省からの話もあって、東北フォーラムの中に研究会を作り、「地域の特性を活かした省CO2型復興住宅の環境設計」をとりまとめました。この報告書はホームページから入手することが可能です。

多くの関係者に参加していただき、健康で快適な住まいと環境を語る広場をめざし、各分野の専門家の方々と一緒に、これからの日本の住まいについて考えて参ります。