ビロードの爪
The Case of the Velvet Claws 1933年

ペリイ・メイスン・シリーズのデビュー作がこれ。
角川文庫で能島武文訳で読みました。
 内容は文句なく面白いのですが、シリーズの初期の設定がどうなっていたのかも興味深く読んでみました。
デラ・ストリートについては

『かれこれ二十七、八歳の若い女』、『きみは別さ。きみの家は金持ちだった。それが失敗して、金をなくなしてしまった。きみは働きに出た(第一章)』、『わたし、あなたを知ってから、五年になりますわ(第十六章)』

という経歴が語られていました。
ペリイについては

『いつもなら、ぼくが殺人事件に関係するのは、警察の仕事がすんでしまったずっと後のことなんだからね。だから、こん度のことは、ぼくにも一つの新しい経験だよ(第九章)』

と、後に「最も殺人発見数の多い弁護士」と警察にマークされるとは思えないスタートです。
それにこの頃は裁判の前に事件を解決するので有名な弁護士だったようです。
デラの言葉で

『依頼人の中には、死刑になった者もあれば、釈放されたものもあったわ(第十六章)』

って、不敗のペリイにも最初は敗訴があったんですねえ。
 ペリイの事務所の場所も、ビルの何階なのか不明です。
(その後別の事件で、2階という記述を発見しました)
ポール・ドレイク探偵社との関係は

『ポール・ドレイクの事務所のある階まで駆け降りると(第十六章)』

というわけで、最初はペリイの事務所より下の階にあったことになります。
後に同じ階になったのは、テレビ化されたときの撮影の都合かな?  
題名の意味は、デラの

『ビロードの中に、とぎすました爪をかくしている女ですわ(第十二章)』

という言葉からきているようです。
 作品の題名が『The Case of the 〜 』で統一されていますが、これはペリイの扱った事件のファイルに付けられたタイトルだからなんですね。
タイトルの名前はペリイとデラが事件の最後に相談して決めています。

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