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「郵便戦隊設立秘話」
(イラスト:サイレント・S氏
     阿波田閣下氏)

 

 

やってられないっすー!!

 

 たくさんの郵便物が乗ったテーブルを見事な一徹返しにした購買の主、秘密の数は(自称)ナンバー1のマッコイ姉さん(本名不詳)。一応、衝撃に弱そうな郵便物は除けて、更に特に壊れた様な音も聞かないし、下には衝撃吸収用のマットも敷いたので、郵便物に損傷はない。商品にせよ、郵便物にせよ、他人様に渡す前に傷つけてしまうなんて商人(あきんど)としては許すまじ行為なのだ。
 ひっくり返したテーブルを戻し、郵便物を元の通りに戻すと、いすに座ってため息をつく。
 頭のアンテナも元気なくへにゃとしているところを見ると、結構お疲れのようだ。
「あたしは……
 仕入れに行きたいっす〜〜〜〜っ!!」

 万能戦艦「ラストガーディアン」。正義と平和を守る最後の砦。
 様々な世界から集まった「勇者」が日々戦いを繰り広げる…… となるには少し早い時期のお話。
 経歴どころか本名も何もかもが「秘密」となっているこの「マッコイ姉さん」がどうしてこの「ラストガーディアン」に入れたのかは未だに謎なのだが、生活班購買部として日夜忙しい日々を送っている……ことになっている。なぜそういう言い回しになるか、というとまだ就航したばかりであまり人がいない。いや、キロクラスの空中戦艦であるからクルーはたくさんいるのだが、大きな班になると班で独自に購買を持っている所もあるので、今ひとつ活躍の場が無い。
 ブリッジクルーや艦長以下首脳部は活用しているのだが、まだこうマッコイ姉さんの商人魂を熱くさせてくれるような仕事ぶりにはほど遠い。
 だから、という訳じゃないが、購買に郵便物の仕事が回ってくるようになった。
 いかに通信網が発達したところで、紙による郵便物は無くならないし「物」を運ぶ小包だけは物質転送システムでも出来ない限り、物理的に運ぶ以外の手段はない。
 そして補給などと一緒に来る郵便物が暇そうに見えた購買にその扱いが委ねられたのは時間の問題であった。
 しかし、敵である「トリニティ」の動きが激しくなるにつれ、導かれたように次々と勇者が集まってきて、人も増えてきた。郵便の仕事も加速的に増え、本来の仕事である購買の仕事も赤丸急上昇。数日購買が開かなくても自販機等でどうにかなるが、郵便だけはどうしようもない。
 もう一人購買部にいるが、郵便物はともかく、購買の仕事は……
「ああ、そうっす! ナイスアイデアっす!」
 決めてしまえば話は早い。店舗の裏の(無限の広さを持つと噂されてる)収納庫へ向かう。
「おーい、葉月(はづき)っち〜」
 マッコイ姉さんに呼ばれてチェックリストを作っていた白神(しらかみ)葉月が振り返る。ウェーブのかかったロングヘアをうなじでまとめた知的メガネ美人である。
「……なんかあたしと描写に差があるような気がするんすけど。」
 気のせいです、はい。
「あの、マッコイ姉さん?」
「なんでもないっす。
 ……ところで葉月っち?」
「はい……」
 購買部所属の葉月であるが、前々からマッコイ姉さんは役不足だなーと思っていた。どちらかというとデジタルよりアナログ的な思考。頭の回転が速く決断力もあり、更ににじみ出るカリスマ性。正直倉庫の整理や店先で「いらっしゃいませー」なんてさせるにはもったいない。
「郵便部作る気はないっすか? つーか作るっす。」
「はぁっ?!」
 後にも先にもあのクールな葉月が声を大きくしたのはこの時だけだろう、とマッコイ姉さんがしみじみと語ったのは他の話。

「リーダーは葉月っちでいいすけど、いい人材知らないっすかね? 人数は多く要らないので、少数精鋭で行くっすよ。」
「あの、いきなり何ですか?」
「郵便部っすよ、郵便部。郵便物も増えてきたし、結構外からの転送物も多いっすから、郵便部を独立させちゃうっす。」
「ええまぁ、それは分かりますが……」
 そういう判断がすぐに出来るところがありがたいっす、と思いながら注文伝票に溢れた机に座る。コンピュータを前に阿修羅どころか千手観音の如くに手を動かすと、次々に書類を作成していく。
「これは艦長に出す事業計画書に区画申請許可書に予算シミュレーション、と……」
 バババババババ……
「創立資金は購買のM資金から出すとして、あとは……」
 ガバッとマッコイ姉さんが顔を上げる。
「人材っすよ、人材。葉月っちには心当たり無いっすか?」
 すっかり事態が動き出していることに葉月はため息をつきながらも通信機(艦外に電話も出来るクルーの必須品)を取り出した。

「青木神無(あおき かんな)、と申します。葉づ…… いえ、白神さんとは先輩後輩の仲です。」
「ああ、いいっすよ、気軽に気軽に。」
 葉月が連れてきたのは気の強そうなつり目のベリーショートの女性だった。葉月より一つ二つ年下、というところだろうか。
(厳しそうな子っすね。でも芯は優しそうだし、結構世話好きタイプっすね。人を引きつける魅力と真っ直ぐさもあるし、サブリーダーとしてはうってつけっす。)
 ジッと見つめるマッコイ姉さんに、先輩の葉月に居心地が悪そうに視線を向ける神無だが、パシッと膝を叩いた音に慌てて向き直る。
「合格っす! よろしく頼むっすよ、神無っち。」
「かんなっち……?」
 2人目決定。

「あ、そうそう。クロノスのメイアさんがブリッジに入って、ブリッジクルーに余剰が出たそうですよ。」
「そうなんすか?」
「ああ、移籍希望があったら可能な限り受け付ける、って通達が貼ってあったな。」
 購買に戻って早速作戦会議。
 神無はマッコイ姉さんと葉月の推薦、そして経歴に何も疑わしい事が無く、晴れて(?)「ラストガーディアン」のクルーとして登録された。まだ名前だけの部署ではあるが、既に生活班郵便部への所属も完了している。
「折角だから女の子だけで固めたいっすねー
 ……ん? この子は……?」
(悪く言えば)リストラが決まったブリッジクルーのデータを呼び出したマッコイ姉さん。レーダー員の女の子に目がとまる。
「う〜ん……」
 パッとマッコイ姉さんが姿を消した。
 そして1分もしない内にブリッジクルーの制服を着た女性を引っ張ってくる。
「連れてきたっす〜」
「「早っ!」」
 顎のラインで切り揃えた栗色の髪。やや垂れ目の女性は、口元のほくろの当あたりに指を当て、不思議そうに首を傾げる。
「あの、私に何のご用でしょうか?」
 連れて来られたことには驚いた様子もない彼女に何か微妙な物を感じる葉月と神無。
「え〜と、あたしはここの購買の主っす。マッコイ姉さんの気軽に呼んでくれるといいっす。」
「あ、はい、私は緑川弥生(みどりかわ やよい)です。今のところ所属はブリッジですが……」
 そこでやっと思い出したのか、葉月が口を開く。
「実は今艦内に郵便部を創立して、その人員を集めているところです。」
「……ゆう、びん?」
「ええ、郵便部です、艦外から来る郵便物を仕分けし、艦内からの郵便物を受け付けるセクションです。」
「えっとぉ…… その、カッター使います?」
 弥生が聞いたのは葉月の予想の遙か上のしかも45度くらい傾いた質問だった。
「カッター、ですか?」
「はい、カッターナイフです……」
 よほど驚いた顔をしていたのか、弥生の声が少し尻すぼみになる。
「そうですね、紙相手の仕事ですから使うことは間違いないです。」
「そうなんですか。」
 ぱぁ〜っとちょっとドリーム入ったような笑顔になる弥生。どこか夢見る乙女の瞳だ。
「それでですね、」
「…………」
「あのぉ……」
「…………」
「緑川さん?」
「はっ! ごめんなさい。私たまにふっ、と気が遠くなることがありまして。低血圧なんでしょうか?」
 違う違う、と手をパタパタ振るのは実際に低血圧で朝が辛い神無だ。
「お話を戻しますと……」
「はい、私でよろしければ是非とも郵便部に配属したいと思います。レーダー員をやっていましたので、通信システム等には自信がございます。どうかよろしくお願いいたします。」
(……う〜ん、結構マイペースな子っすね。でも通信関係に強いのは戦力ですし、このマイペースさが役に立つこともあるっす。)
 ぺこりと頭を下げる弥生をマッコイ姉さんはそう評した。
 そんなわけで3人目決定。

「う〜ん、もうめぼしい人材は艦内にいないっすね〜」
 突貫工事が終わって完成した郵便部の部署。分別用の棚に、受付用の窓口。奥には倉庫があって、一通り必要な機材は揃っていた。
 早速郵便物が郵便部に回ってくる。葉月と神無が郵便の仕分け方をまとめて、それを弥生がテンプレートとしてコンピュータに入力している。緊急や書留などの郵便物以外は届ける必要がないし、個人宛の郵便はメールや艦内放送で知らせている。更に言うと大半の郵便は全国からの「勇者」たちへのファンコールやお礼の手紙だ。確かに大変ではあるが、やりがいのある仕事である。
 そんな中、流通の先達としてアドバイスしながらマッコイ姉さんは考えていた。郵便部は稼働できるくらいになったが、出来ればもう2〜3人は人が欲しい。似たようなセクションのクルーのデータは一通りチェックしたが、こうビビッと来るような人員がいない。
「こーなったら…… 葉月っち! スカウトに行くっす!」
「あのそれが、艦長から呼ばれてまして。神無、行ける?」
「ん? 分かった。」
 スッと立ち上がった神無と共にマッコイ姉さんは郵便部を出ていった。

 格納庫からマッコイ姉さんの車で街へ。
 適当なところに車を止めると、ブラブラ二人で街を歩く。
「う〜ん、重い荷物もあるから、気は優しくて力持ち、って感じの子が欲しいっすね〜」
「そんな都合良くいますかね。」
 いささか口が悪い神無ではあるが、マッコイ姉さん相手には少し丁寧口調だし、マッコイ姉さん自身も素直さの現れ、と思ってそんな悪い気はしない。
 歩いているとマンションの建物の前に一台の箱トラックが止まっていた。横には有名な引っ越し業者の名前。次々とタンスや冷蔵庫の大型家具が運ばれていく。さすがに力仕事で体格のしっかりした男たちが二人がかりでゆっくり運んでいた。
「……?」
「どうしたっすか、神無っち。」
「あ、いえ、あそこ……」
 神無が指さす方を見ると、少し傾いた冷蔵庫が蠢いていた。いや、冷蔵庫に隠れて小柄な少女が一人で持ち上げているのだ。
「お〜い、赤沢(あかざわ)ちゃん。一人で大丈夫かー?」
「全然大丈夫! ばっちり任せて、ってーの!」
 大の男でも大変そうな冷蔵庫を一人で運んでいく。
「気は優しくて……」
「……力持ち。」
 2人同時に同じ事を考えた。
 しばらくすると、その少女が戻ってくる。とてもそんな力持ちには見えない。
「よーし、赤沢ちゃん、少し休憩すっど〜」
「はーい! お茶買ってきま〜すっ!!」
 中年の作業員に声を掛けられて、近くのコンビニに走っていく少女。そんな姿を見る作業員たちは優しい笑顔を浮かべていた。
「慕われているみたいっすね。」
「ああ。」
 戻ってきて、他の作業員に缶のお茶を配り終えたところで、マッコイ姉さんが彼女を呼んだ。
「あ、はい? あたしですか?」
「そうっす。ちょっとお話があるっす。」
「え〜と、喉乾いているんで、お茶飲んでもいいですか?」
 いいっすよ、というマッコイ姉さんの言葉に少女はリングプルを開けると、冷えたお茶を一気に飲み干しプハーッと一息ついた。
「効くぅぅぅっ! やっぱ汗かいたときはお茶に限る!」
(ふ〜ん。気っ風(きっぷ)のいい子っすね。見ててこちらも気分がいいっす。上下関係もしっかりしてるし、家の躾が良かったんすね。)
 江戸っ子風味の彼女をそう見ていると、神無が肘でマッコイ姉さんをつつく。あれあれ、胸の身分証明のプレートを指さすと、ビッときたものがビビビッにパワーアップした。
「色がいいっす。」
「……名前もいいねぇ。」
 ひそひそ言い合っていると、少女がビシッと直立してから頭を下げた。
「あたし、赤沢卯月(うづき)と言います。お二人は一体……?」
「あたしは合格っすよ。」
「確かに。」
「???」
 うんうん、と頷くふたりに卯月は首を傾げるだけだった。
 その後、フリーターの卯月を郵便部に勧誘し、引っ越し業者にも話を付けたマッコイ姉さん。他の仕事仲間たちが卯月がいなくなることを残念そうにしながらも、新しい門出を祝ってくれたところに卯月の人徳を見た気がした。今はまだ仕事中、ということで、準備も含めて2日後から来てもらうことになった。
 ……郵便部、って仕事は説明したものの、その「仕事場」までは教えてない。
 素直に驚いてくれることを期待しつつ、4人目が決まった。

「4人…… 4人っすか〜」
「何か不満でも?」
「ん〜 なんか中途半端っすよね〜」
「そうですか?」
「う〜ん、このマッコイレーダーがピクピク動くっすよ。」
「……それ違いますし。」
 頭を振ってアンテナを揺らすマッコイ姉さんにツッコミを入れる。
「それに、今朝通路であったアラビア風の占い師の女の子にラッキーナンバーは5って言われたっすから。」
 なんでそんなのが艦内に、とまだ「ラストガーディアン」に入って日が浅い神無は思ったが、後にイヤでも思い知らされることになるのは余談である。
 しばらくブラブラ歩いていると、いきなり歓声が聞こえてきた。
「なんすかね?」
「ゲームセンターだな。」
 歓声の中に怒号が混じる。
「てめぇ! ズルしやがったな!」
 大型の筐体を使った戦車戦の対戦ゲーム。カプセル式で360度回転して臨場感溢れるゲームなのだが、筐体が大型過ぎてなかなか置かれていないゲームでもある。
 その一方――おそらく負けた方から男が一人出てくる。仲間の前でいいところを見せようと思ったら惨敗して、その腹立ちを対戦相手にぶつけよう、といういかにも頭の悪そうな状況だった。
「なによ! あたし何もズルしてないもん! そっちが弱いだけじゃない!」
 甲高い声に周囲の喧噪が一瞬止まる。反対側のカプセルから出てきたのは髪を赤く染めたツインテールの少女だった。顔に浮かぶそばかすと小柄な体がミドルティーンくらいではないか、と思わせる。ツインテールをバタバタ振り回して言い返す姿は威嚇している小動物を彷彿とさせる。
「……ああいうのは苦手だ。」
 神無がボソリと感想を述べる。
「あぁん? 女がこんなゲームやってるんじゃねぇよ。」
「負けたからって八つ当たり? あーヤダヤダ。何ゆってんのかしらー」
 少女の言葉に男の怒気が膨れあがってくる。指摘通り負けた悔しさと恥かいた(と本人は思っている)八つ当たりなのだが、それが理解できるようなら最初から因縁付けたりしないだろう。
「苦手なタイプだが……」
 神無が歩を進める。激高した男が少女を殴りつけようと拳を振り上げた。
「見過ごすわけにはいかない。」
 少女の前に割って入ると迫る拳を軽くいなして流れるような動きで身を翻す。カウンターで放った肘が男の腹部にめり込んだ。一瞬男の体が宙に浮くと、重力を思い出してどすんと音を立てて落下する。
 静まった喧噪がまたよみがえった。男の仲間と思われる何人かが神無に掴み掛かってこようとする。
「逃げるぞ。」
「え? えぇ?!」
 少女の手を掴むと、無理矢理引っ張ってゲームセンターを出て行く。
 ブップー。
「ふたりともこっちっすよ、こっち〜」
 騒ぎの間に車を取ってきたマッコイ姉さんがひらひら合図をする。
 ふたりを乗せると、車はさっさと街を抜け出した。

「皐月(さつき)っちでいいっすね?」
 ハンドルを握るマッコイ姉さんがそう問うと少女は驚いた様に目を見開いた。
「え〜 なんであたしの名前知ってるの? 超能力? エスパー?」
「どっちも同じだ。少し黙れ。」
 二日酔いの朝のような顔で神無がこぼす。
「桃井(ももい)皐月。『ラストガーディアン』医療班所属。その前もいくつかの部署を転々としていたみたいっすね。」
 運転しながらコンソールを触ると、搭載しているディスプレイに皐月のプロフィールが映し出される。
「……なに?」
「ええっ! なんであたしのこと知ってるんですか?! それに艦の事も!」
 その甲高い声を黙らせようと、神無は無言で自分のIDカードを見せる。
「え〜っ!! お姉さんたちも艦の人だったんですか!」
 効果は無かった。
「縁故で艦に乗ったこともあって、降ろすことも出来ずに何処でも持て余し気味って聞いた憶えがあるっすよ。」
「面倒な。」
「あう……」
 嫌な事を言われてツインテールごとしょぼんとしてしまう皐月。
「でも驚いたっすねー あのゲーム、あたしもよくやるっすけど、そのトップにいつもいる『MAY』って皐月っちのことだったっすねー」
「うん、あたし得意なんだーっ!」
 いきなり復活。
「走行中は前しか撃たない、って思ってる人が多いから、バーッと走りながら砲塔を回して狙い撃ちするのが快感なんだよー」
「知るか。」
(リプレイ見たことあるっすけど、この子の空間把握能力は本物っすね。本人はあんまり気づいてないようっすけど。あとはこの性格。フォローしてくれる人がいるなら問題はないし、いいムードメーカーになりそうっす。)
「神無っち?」
「なんですか。」
 憮然としたように返す神無。
「この子の名前は?」
「確か…… 桃井さつ…… まさか?!」
「色がいいっすねー」
「名前も、いいな。」
 絞り出すような神無の声。
「うんうん、郵便部は幸先いいっすね〜」
 5人目も決まって郵便部――通称郵便戦隊がここに誕生した。

 

「おはようっす、葉月っち。」
「あ、おはようございます。」

 補給物資と共に購買の商品や郵便物が入ってくる日。あらゆるセクションの物資担当がチェックリストを今や遅しと待ちかまえている。
 最初は整備班や機関部などの大物が入ってくるので、比較的小さな購買部や郵便部は後になるからまだ時間があった。
「郵便戦隊の調子はどうっすか?」
 マッコイ姉さんに聞かれると、葉月は小さくため息を漏らした。
「順調といえば順調ですが…… 艦長の苦労が少し分かるようになりました。」
 葉月の言葉に笑みがこぼれる。
「あ、そうそう。郵便戦隊創立のお祝い、ってわけじゃないっすけど、ビッグなプレゼントを用意したっすから、手の空いたときみんなで来て下さいっす。」
「え、そんないいですよ。」
 チッチッチ、と不敵な笑みと共に指を振るマッコイ姉さん。
「もう格納庫にあるんで、返品不可っす。」
「そうでしたか。」
 マッコイ姉さんと付き合いがあった葉月だから、こう言った場合は本当に返品不可なのだろう。
「楽しみにしてるっすよ〜」
 そのプレゼントがどれだけ「ビッグ」だったかはまた別のお話で。
 そんな風に近況などを話していると、大物の荷受けが一通り終わったらしい。
 今大食堂の食料が運び終わったところのようだ。
「さ、あたしたちも仕事っすよ!」
「はい。」
 きびきびと歩いていったマッコイ姉さんが不意に振り返る。
「ところで葉月っち。」
「はい?」
「今、楽しいっすか?」
 その質問を理解するのに少し時間がかかったが、4人の仲間の顔を思い出すとつい口元が緩んでしまう。

――はい、楽しいです。

 そう葉月は胸を張って答えた。